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技術コラム

静電吹付塗装について、徹底解説!カチオン電着塗装との掛け合わせの有効性も紹介!

静電吹付塗装とは

静電吹付塗装は、静電気を利用して塗料を被塗物に効率よく付着させる先進的な塗装技術です。この技術の核心は、塗料粒子を帯電させることにあります。塗料は静電ガンから霧状に噴霧され、負の電荷を帯びます。対して、アースされた被塗物は正の電荷を帯び、電界の影響で塗料粒子を強力に引き寄せます。結果として、塗料は被塗物に均一に付着し、ムラのない精密な塗装が可能となります。さらに、電界の作用により塗料は被塗物の裏側にまで回り込み、「つきまわり効果」を発揮します。これにより、複雑な形状の製品でも一貫した品質を維持することができます。

静電吹付塗装のメリット

静電吹付塗装は、その高い塗着効率と環境への配慮から、多くの産業で採用されています。まず、静電気の力で塗料が効率よく付着するため、塗料の飛散が抑えられ、無駄が少ないのが特長です。これにより、塗料の使用量を削減し、コストの抑制につながります。また、塗装の均一性が高いため、仕上がりが美しく、ムラのない品質が保証されます。さらに、つきまわり効果により、形状が複雑な部品でも均一な塗膜が形成され、あらゆる製品に対して高い品質が実現します。これらの特性により、静電吹付塗装は自動車部品、家電製品、建材などの大量生産に最適な選択肢となっています。

静電吹付塗装の工程

静電吹付塗装は、厳密な前処理を経てから行われます。まず、被塗物の表面に付着した油脂や汚れをアルカリ系の脱脂液で徹底的に洗浄し、その後、水洗により残留物を完全に除去します。次に、被塗物の表面にリン酸亜鉛皮膜の化成皮膜を生成することで、塗膜の密着性が飛躍的に向上します。化成処理後、再度の水洗をした後に水切り乾燥が行われ、これにより被塗物の表面が均一に整えられます。こうした前処理が完了した後、静電吹付塗装が実施されます。当社では、熟練した技術者による手作業で静電吹付塗装が行われます。塗装後、塗膜の完全硬化を促すため、焼付乾燥が行われ、最終的に高品質な塗膜が完成します。

静電吹付塗装の適用分野と技術的考慮点

静電吹付塗装は、広範な産業分野でその優れた特性を発揮しています。自動車部品、家電製品、農機具、家具、産業用機械など大規模な製品群に対して、その高い塗着効率と均一な仕上がりが求められています。しかし、技術的な注意点として、袋構造の内部など静電気が届きにくい部分への塗装には工夫が必要です。また、溶剤型塗料を使用する際には、火災リスクを考慮した安全対策が不可欠です。さらに、静電吹付塗装の品質は技術者の経験に大きく依存するため、熟練した技術者による精密な管理が求められます。

静電吹付塗装とカチオン電着塗装の組み合わせ

静電吹付塗装とカチオン電着塗装を組み合わせることで、それぞれの技術が持つ特性を最大限に引き出し、製品の品質と耐久性を飛躍的に向上させることが可能です。カチオン電着塗装は、電気的な力で金属表面に均一かつ強固な塗膜を形成する技術で、防錆性能に優れています。この電着塗装を下地として施した後に静電吹付塗装を行うことで、塗膜の密着性がさらに強化され、最終的な塗膜の耐候性や美観が向上します。

具体的には、カチオン電着塗装によって金属表面全体に隙間なく塗料が行き渡り、特に凹凸のある部品や複雑な形状を持つ製品に対しても、均一な保護層が形成されます。これにより、製品の防錆性が高まり、その後に静電吹付塗装で美しい仕上げを施すことができます。最終的な塗膜は、見た目の美しさだけでなく、長期間にわたり耐久性を維持できるため、厳しい使用環境下でも優れた性能を発揮します。

この技術の組み合わせは、自動車部品、家電製品、農機具、家具、産業用機械など、厳しい品質基準が求められる製品に最適です。また、一貫した塗装プロセスを社内で行うことで、製品の品質管理が徹底されるとともに、効率的な生産が可能となります。

静電吹付塗装・カチオン電着塗装のことなら、藤塗装工業株式会社にご相談ください!

カチオン電着塗装.comを運営する藤塗装工業株式会社は、創業より自動車産業の中心地である三河地方で自動車業界のお客様をメインに日々4,500点以上の製品を取り扱っています。当社は品質管理で厳しい自動車業界のお客様を数多く持つ背景から特に重きを置いています。各種検査測定機器ならびに目視検査のための人員を揃え、お客様への品質に関する問題を限りなくゼロに抑えられるように取り組んでいます。コストや品質、納期を改善する提案や他の塗装方法と組み合わせた提案も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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