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技術コラム

カチオン電着塗装を施したのに錆びてしまった…代表的な原因を3つご紹介

カチオン電着塗装は耐食性に優れた塗装方法です。しかし、塗装時の製品の取り扱いや製品の掛姿勢を誤ると、塗装不良が発生します。そこで今回は代表的な塗装不良とその対策についてご紹介します。

カチオン電着塗装について

カチオン電着塗装とは、被塗物に塗料の固形分を析出させ、焼付けることにより、塗装を施す電着塗装の一種であり、その中でも塗料がプラスに荷電して、マイナス側の被塗物に析出するものことを指します。黒い見た目が特徴的で耐食性に優れた塗装方法であり、主に自動車部品、農業用機械、産業用機械などの構成部品を塗装する際に用いられます。

カチオン電着塗装のメリットは優れた耐食性と塗装の均一性が挙げられます。優れた耐食性を持つ理由は、塗料の原料として使用されているエポキシ樹脂にあります。エポキシ樹脂は水分や酸素を通さない性質を持つため、錆を予防する効果を持ちます。一方の塗装の均一性については、人の手により塗料を吹き付けるのではなく、化学反応により被塗物の表面に塗料の固形分を析出させることにより実現できるもので、この均一性から下塗り塗装として用いられることも多々あります。

>>詳しくは【カチオン電着塗装とは?メリット・デメリットを解説】をご覧ください

 

カチオン電着塗装時における代表的な不良3選

塗装不良① ハジキ

ハジキとは、塗装面にクレーター状の凹みが発生することです。この凹みにより、素地の一部が剝き出しになってしまうことで錆が発生してしまいます。ハジキの原因としては、塗装前に被塗物の表面に油などの不純物が残ってしまう、いわゆる脱脂不良が考えられます。対策としては、水洗や脱脂の工程を見直すことはもちろんのこと、塗装ライン上で油分が付着していないか、脱脂液は適切なものかということを確認する必要があります。

塗装不良② エアーポケット

エアーポケットとは、塗装中に被塗物の内側に空気だまりが発生してしまうことにより、ぽっかりと穴が空いたように塗膜が形成されないことを指します。主に被塗物の形状に原因があり、箱状や袋状のものに発生しやすい現象です。このエアーポケットが発生した部分には防錆性が付与されていないため、経年使用に伴い錆が発生してしまいます。エアーポケットの対策としては、製品の表面に空気の抜き穴を開けることも1つですが、ハンガーの形状を工夫することで対策することも可能です。

塗装不良③ 密着不良

密着不良とは、その名の通り塗膜の密着が十分ではない現象のことです。この密着不良を放置すると、次第に塗膜が剥がれてしまい、それと同時に錆が進行してしまいます。密着不良が発生してしまう原因としては、被塗物の表面が酸化スケール、熔接痕、荒れた鋳肌などのような密着性の低い状態であることです。対策としては、塗装前に表面を整える前処理を行うことが挙げられます。

>>当社が提案する【塗装時のポイント】はこちら

 

カチオン電着塗装で不良の発生を防ぐためには

以上3つの原因を紹介しましたが、全てに共通することは素地が露出してしまうことにより、錆が発生してしまうということです。素地を露出させないためには、製品同士が接触しないための距離設定やエアーポケットにならないための掛姿勢などを拘らなければなりません。また、配送時に製品に傷が付いてしまうことも十分に考えられるため、梱包方法などの塗装後の取り扱いにも、注意を払う必要があります。その他にも、空気穴の設計や溶接痕の除去などの形状変更を必要に応じて行うことで、錆の発生を可能な限り抑えることが可能です。

 

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カチオン電着塗装.comを運営する藤塗装工業株式会社は、創業より自動車産業の中心地である三河地方で自動車業界のお客様をメインに日々4,500点以上の製品を取り扱っています。当社は品質管理で厳しい自動車業界のお客様を数多く持つ背景から特に重きを置いています。各種検査測定機器ならびに目視検査のための人員を揃え、お客様への品質に関する問題を限りなくゼロに抑えられるように取り組んでいます。コストや品質、納期を改善する提案や他の塗装方法と組み合わせた提案も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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